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「最後の50セント」消えたネオン
前橋中心街のすき焼き店

2026.06.17

「最後の50セント」消えたネオン
前橋中心街のすき焼き店

 前橋市中心街の路地裏にあったすき焼き専門店「牛鍋酒家 最後の50セント」がひっそりと店仕舞いしていた。昨年夏から体調を崩していた店主の三村次男さんが亡くなったため。ボリュームたっぷりのすき焼きと怪しい雰囲気で根強いファンがいた。

店主の三村さん亡くなる

 銀座通りから一本、裏通りに入ったビルの2階。階段を上がると、そこは怪しい世界が待っていた。オリエンタルのような、妖怪の世界のような。不思議な人形や置物が飾られ、調度品はアンティーク。内装はすべてご主人、三村次男さんが手作りした。

▲怪しさが漂う店内

 メニューはすき焼きだけ。三村さんが鍋奉行を勤め、豪快に調理してくれた。「牛脂に上手に絡めるとUSAも国産のようになるの。安くて美味しいすき焼きを味わってね」。3、4人で5000円もあればお腹いっぱい食べられた。

▲鍋奉行を務める三村さん

▲ボリュームたっぷりのすき焼き

 三村さんは若いころ、芸能界で働いていた、山本リンダさんのバックバンドをしたこともあったという。

 40年ほど前、帰郷してパブを開いた。店は繁盛したが、しばらくして「水商売は年取るとできなくなるから」とすき焼き店に変え、1人で切り盛りするようになった。

 店内は来るたびにゆっくりと姿を変えた。まるで、小さなサグラダ・ファミリアのように。店は東西に奥行きが深く、東側にある入口と反対の西側はオリオン通りに達する。昨年春ごろには西口もできたが、「まだ完成じゃないよ」といたずらっぽく話していた。

 結局、完成する日は来なかった。前橋の路地裏から、また一つ、替えの利かない風景が消えた。