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聞きたい

【聞きたい 飯野さん3▶︎】
オーガニック体感農場へ進化する スーパーシティ×スローシティ構想

2021.09.06

【聞きたい 飯野さん3▶︎】
オーガニック体感農場へ進化する スーパーシティ×スローシティ構想

学生時代にインドの農村で目にした循環型の有機農業を赤城山南麓で実践している。自然の恵みをいただいて育った小松菜は生で食べると甘さに驚かされる。農業法人を率いる飯野晃子さんは2児の母。前橋と東京の二重生活、仕事と家事の二刀流を楽しむ。

―前橋市のスーパーシティ構想に対してはセットとなるスローシティを推進する立場から事業を提案、連携事業者に認定されました。

弊社は26期目に入り、社屋の老朽化がかなり進んでいるため、選別場など作業施設を新たに建設する計画があります。それに合わせて、私たちの農場は進化します。

つまり、単なる生産現場としての農場から、農業体験やオーガニック食品を味わうことができる「オーガニックを体感できる場」として進化するんです。

私どもの取引先、お客さまはデパートやスーパー、生協など首都圏に多くいらっしゃいます。農場にお越しいただき、収穫体験をしたり、収穫したての小松菜を味わったりして、有機農業を体感してほしいです。

―前橋市の交流人口が増えます。

お子さんの食育にもいいでしょう。首都圏から近くですから、交流人口を増やせるし、移住にまでつながれば最高ですね。もちろん地元のお客様にもぜひプレマの農場にお越しいただきたいです。

同時に、人材育成の場としても活用したいと考えています。現在、ベトナムからの技能実習生を受け入れていますが、国内やアジア、世界から有機農業を志す人たちが集まり、仕事を通じて成長し、プレマの有機農業を広めていってほしいと願っています。

―2児の母。前橋と東京の二重生活、仕事と家事の“二刀流”が続きますね。

子供がまだ小さいので、コロナ禍の前から業務連絡や会議などLINEやzoomを活用し、リモート体制を整えていました。いまは週に2日くらい農場に来て、あとは東京で仕事するスタイルが定着しつつあり、効率化を進めています。

生産部門の社員は全員にスマホを持たせ、何か問題が生じれば写真を撮って全員に送ることで、情報共有できます。生産や出荷、販売のデータもパソコンで管理し過去の経験だけに頼ることなく、適切な行動をとれるようになりました。

私たちの小松菜は、工場製品ではなく、土を大事にして育てる有機農産物ですから、すべてITに任せるわけにはいかず、目・手・口(舌)など人間の感覚を使うことはやっぱり大切ではありますが、それでもITの活用で便利になり、できないことができるようになりました。

スーパーシティ×スローシティ事業者として、ITを活用しながら、自然と寄り添い、人間らしい感覚を大切にして、これからも希望を胸に、笑顔で楽しく有機農業に取り組んで広げていきます。

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飯野晃子(いいの・あきこ)

1979年10月20日栃木県足利市生まれ。津田塾大学英文科卒業、東京大大学院修士課程修了。2015年からプレマ社長。一般社団法人日本ヒーリングフード協会代表理事を務める。

株式会社プレマ(プレマ・オーガニック・ファーム)

1996年創業。周年で有機小松菜を栽培。小松菜パウダー、小松菜生うどん等加工品も販売する。資本金1000万円。従業員約35人。前橋市粕川町下東田面。