焼きそば　しろがね
青春の味　前橋ソース

昼時。持ち帰りの客も重なり、次々と客がやってくる。テーブル４つの小さな店。厨房では細腕の店主、中里千賀さんが大きな中華鍋を振るう。ソースの焦げる、たまらない香りが漂ってくる。
暖簾に創業昭和35年創業と染められている。36年早生まれの自分と“同級生”か。焼きそばと焼きそば定食、コーラとトコロテンがメニューのすべて。以前はラーメンがあったのですが、やめたようです。
焼きそばは極細の平打ちでやや縮れがある。蒸し麺をさらに蒸し焼きにするから、鉄板でなく蓋ができる中華鍋を使う。ここがミソでしょう。極細ながらしっかりした歯応えを感じられ、しかも、もちもち。所々、お焦げがあって香ばしい。具はキャベツとモヤシのみ。この潔さがいいね。

ソースは知る人ぞ知る「ミツビシソース」。市内の小さな酒屋さんが作る前橋産だ。フルーティーで馥郁たる香り。ラードのコクが加わり、もう箸が止まらない。ショウガがいい口直しになる。

「一味かけるとおいしくなるよ」。そうでした。味変にはこれ。ピリッと引き締まる感じ。味はちょうどいいけど、必ず追いソースをしたくなる。

中里さんは２代目。亡き母から引き継いだ。「中学生のころ来てくれていたお客さんが子供を連れてきてくれる。うれしいね」

自分もそんな昔の常連。部活（サッカー部）の帰りにお世話になりました。夕飯前だというのにいつも大。それでも200円くらいだったかな。当時を思い出し、コカ・コーラを飲んだ。あー、青春の味がする。