【聞きたい福田さん8】
5Gの先進地になろう、携帯料金ぐっと安く

前橋市が推進するスーパーシティ構想で、計画の統括者「アーキテクト」を務める福田尚久さん。アップルでは副社長となり、スティーブ・ジョブスとともに巨大企業に成長させた。日本通信の社長であり、今年4月から前橋工科大理事長の肩書が加わった。4つの顔を持つ男が故郷の明日を劇的に変える。

5Gの先進地になるチャンス
携帯料金ぐっと安くなります

-日本通信に入社し、携帯電話業界の規制に挑み続けています。
 アップル時代と同じことを実践しているだけですよ。携帯電話のあるべき姿を思い浮かべます。すると、現状と全然違う。理想に持っていきましょうと。 あるべき姿とは安全であり、かつ安くて便利に携帯を使えることです。だって、インフラは『社会資本』です。携帯の基地局も道路と同じように基本的にはフリー(無料)で使えて、フリーが無理でも原価ベースで使えないとおかしいでしょ。
 ところが、実際はそうではありません。携帯キャリア3社が巨大な利益を出しています。周波数は限りがあるから、基地局を持つプレーヤーとサービスを提供するプレーヤーを切り離すべきです。
  -スーパーシティ構想に関しても、前橋方式の提案をしています。
 独自の携帯インフラ、基地局を市が持ってはどうかと。その方がはるかに安いんですね。しかも、いまはギガスクールですごくお金がかかる。携帯キャリアに毎年何億円って払っている。それだけのお金があれば、独自の基地局を作っても、赤城山の山頂までは無理でも、ほとんどの地域をカバーできます。
 5Gの基地局を建てれば先端的に5G地域になります。何ならキャリアに貸せばいい。
 米国やヨーロッパが何で日本よりも早く5Gが進んでいるかといえば、携帯キャリアはあまり基地局を持っていなくて、タワーカンパニーから借りているんです。米国の場合、1つの基地局で平均3社弱のキャリアが利用しています。タワーカンパニーが中心で、携帯キャリアは借りてやっている。日本だけですよ、キャリアが基地局をそれぞれ別に建てているのは。
 -5Gになっても同じように別々にやっていたら、街の至る所に基地局ができてしまいますね。
 それはどう見たっておかしいでしょう。米国はタワーカンパニーが一番利益を上げています。それでいて、批判は出ません。なぜか。株主は米国民に限られていて、利益を配当して還元しているからです。
 日本で同じようなことをやるなら自治体がタワーカンパニーになればいい。基地局を建ててキャリアに貸し出す。前橋市がやれば市民の携帯料金はずっと安くなるし、もっと利益を出せば税金を安くすることだって可能です。道路や水道も自治体がやっているでしょ。それと一緒です。
 前橋市で設計してみたら、持っている場所がいっぱいあります。学校や公園、市有地に建てればいいから。場所を借りるのが最大のコスト。自治体は持っているんだから一番安くできる。今までのようにキャリアが基地局を建てて、我々がそれを借りるという発想を変えなければならないですね。
 5Gが日本で一番整っている地域となれば、メリットは計り知れませんね。そうなると、これまで理論上だけで実現は無理だとあきらめていた、便利で、生活を豊かにしてくれる新しいサービスを提供できます。モバイル先端地域として、進出する企業も増えるでしょう。


ロボット遠隔操作、顔認証
【5G】第5世代移動通信システムの略。タイムラグがなくなり、高速で大容量のデータの送受信が可能となる。家電をはじめ、さまざまなものにつなげることができる。ロボットの遠隔操作、顔認証による支払い、自動運転の実現に寄与する。

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