聞きたい新井さん1▶︎
泣き顔を笑顔に変えたい
子供用ウイッグで起業

娘さんが小児脱毛症だった。母子で泣いた。小学校入学前に何とかしてやりたい。それが起業の原点だった。使いやすくて、手入れしやすくて、そして、おしゃれ。夢のようなウイッグを作り上げた。前橋リリカにウイッグ専門店を構える新井舞さんの物語です。

 

 ―子供向けの医療用ウイッグ(かつら)「ファンキッズウイッグ」の販売で起業しました。
 「娘の脱毛症がきっかけです。4歳の時、フルウイッグ(全頭かつら)をオーダーメードで購入しましたが、サイズが合わず、髪の生え際や顔回りがチクチクするといって嫌がったのです。
メーカーの担当者は『こんな小さい子のは作ったことがない』と話していたので不安でしたが、案の定という感じ。ほとんど使わず仕舞いでした。
 このころブログを始め、小児脱毛症の悩みを書いて発信したのですが、同じように悩んでいる人がいることが分かりました。何とかならないかなと考えていたら、いつの間にか起業してしまったのです」
 ―わが子を思う親心が原動力だったのですね
 「小学校に入るタイミングで何とかしてやりたいと思っていました。でも、直前の3月に娘の髪が一斉に抜けてしまって。『こんな体に生んでしまってごめんね』と大泣きしたら、娘も大泣き。いつもあっけらかんとしているのに、あのときばかりは…。でも、泣いたのは髪のせいじゃなかったのです。『ママが私の髪のことで泣くのが辛い』って泣いたのでした。
 うちと同じように泣いている母子がいる。そういう人たちのために何とかしようと決意しました」
 ―具体的にはどんな行動に出たのですか。
 「子供用のウイッグを開発してくれるメーカーを探しました。手当たり次第にメールを送ったところ、東京都内の1社から返事をいただきました。社長さんに会ってお願いし、試作が始まりました。
子供用のを作った機会がないというので、うちの子をモデルに詳細なデータを取りました。素材による付け心地、どんな場面で使ったか。気温と汗の量も調べて、メーカーに送りました」
 ―どんなウイッグを思い浮かべたのでしょう。
 「子供が気持ちよく使えることが一番です。着けても負担に感じない。そして、ポジティブなウイッグ。恥ずかしいからではなく、着けると楽しくなる、おしゃれなウイッグにしたかったですね。
それと、毎日のことですから、お手入れが楽でないと。最大の問題だったのが頭皮に触れる布でした。速乾性が求められました。汗が乾くのに時間がかかると水分を吸収してしまうので、蒸れの原因となります。コットンがいいことが分かりました。
 結果的に帽子を被って使うタイプにしました。頭頂部は髪がありません。メッシュです。熱中症対策でどうしても帽子が必要です。でもフルだと蒸れて、チクチクしてしまう。負担になります。お出かけするときに使えればいいので、そういう形にしました」
 ―製品が完成したのはいつですか。
 「2018年2月です。うれしかったですね。同時に同じ悩みを抱えている人に使ってもらうにはお店が必要だと気づいて。4月に起業し、インターネットの店「ドリームアソート」を開きました。

新井舞(あらい・まい)

1986年3月、太田市生まれ。2018年、ウイッグ専門ネットショップ「ドリームアソート」を創業。2019年、「群馬イノベーションアワード」ファイナリスト。2020年、前橋市リリカ内に実店舗を開店する。前橋市在住。

関連記事