聞きたい櫻井さん2▶︎
「喜んでもらう合戦」展開中
やっぱり買い物って楽しい

「ハートマーケット=心の市場」。何と心に染み入る素敵な名前だろう。代表の櫻井明さんは天からの授かりものというこの言葉を28年間、大切にしている。経営者として決して順風満帆ではなかった。運に恵まれず、人に裏切られ挫折も味わった。それだけに「ハート」を大事にしている。わずか8坪で始まった店は全国60カ所以上に広がった。

―コロナがアパレル業界を直撃しています。影響はどうですか。
 「売り上げは激減しましたよ。昨年はざっと半減ですね。今年もあまり変わらない。最初に非常事態宣言が発令されたときは、全店舗閉鎖しましたから。売り上げより、命の方が大事だと考えました。
 社員はみなファミリー。自分の娘を店に立たせられるかと考えれば、当然、嫌だ。なら、社員も立たせられない。娘は実際、働いていましたがね、別の会社で(笑)」
 ―店舗をのぞくと、みなさん明るいですが。
 「給与は一度も下げていません。だからじゃないですか(笑)。ボーナスも借金しても払いました。この決断が会社にとって悪いことになるかもしれないけど、払いますと。(業績が悪化して)返してもらうかもしれないから、あまり使わないでねと言っておきましたけど(笑)
 実は創業して数年たったとき、赤字に転落したことがありました。このときも金融機関から1000万円貸してもらい、従業員全員にボーナスを支払いました。みんなの会社だから」
 ―コロナ対策として、オンラインを強化する動きがあり、店舗は少なくなる傾向もみられますが。
 「オンライン販売は伸びていますよ。コロナの前から比べれば400%増です。でも、大きくなった会社の経費、人件費はカバーしきれない。
それより、お店には9月ぐらいからお客さまが戻ってきて、売り上げが少しずつ上がってきました。路面店が特にいいですね。モールは人混みを恐れて、少ないですけど。
 店頭に立ちますと、お客さまが楽しそうに買い物をしている姿を見られて、うれしくなります。リアル店舗は5年後にはなくなるなんて言われることもありますが、やはり買い物は楽しいんですね。まだまだリアル店舗でやれるんだと自信になりました」
 ―苦戦が伝えられるアパレル業界。勝ち残るための戦略をどう展望しますか。
 「売り上げはまだまだ伸びると思いますよ。うちと同じような店は世の中にありません。この世にない商品を出します。それはこれからもしっかり守り続けたい。
 うちはお客さまをみて、商品を開発しています。そこが他社との大きな違い。他社は自分を主張し、それをブランドとしている。方針が全然違うでしょ。
 お客さまに喜んでもらえる商品をつくる。『喜んでもらう合戦』をしているんです。
 お客さま、スタッフ、メーカー、ひいては地域の人、みんなに喜んでもらうのがハートマーケットのアイデンティティー。みんなの笑顔の真ん中にいられるように、365日頑張ります」

さくらい・あきら

1963年5月、安中市生まれ。農大二高卒業後、国鉄に就職する。洋服店勤務を経て起業する。2度の失敗を経て、ハートマーケットを創業。前橋市中心街に8坪の店を開く。


ハートマーケット

1993年11月創業。前橋、高崎市の中心街に出店から郊外型に移し、2002年、前橋市川原町に旗艦店を出店する。全国展開を加速させ、店舗数は全国に60店以上ある。売上高は16年度に100億円。

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