白井屋ホテル美食の饗宴 ▶︎
「上州キュイジーヌ」掲げる

フロリレージュ:川手寛康シェフ/ザ・レストラン:片山ひろシェフ

師弟で繰りなす「美食の饗宴」

 東京・外苑前にあるフランス料理の名店「フロリレージュ」、川手寛康シェフと白井屋ホテル「ザ・レストラン」、片山ひろシェフによる「美食の饗宴」が8月31日、白井屋ホテルで開かれた。前橋市を中心にした群馬県産の選りすぐりの食材を使い、独創的なコースに仕立てた2人のシェフ。饗宴の舞台裏と今後の展望を聞いた。

―白井屋ホテル「ザ・レストラン」のシェフとして8カ月が過ぎました。どんな心境でしょう。
片山  正直、いま揺れています。開業当初は純粋に喜んでいただいた。話題のホテルができたぞと、いろいろなゲストにお越しいただいた。光が当たっている感じがしました。
 いまは厳しい目でも見られるようになった。これからが勝負だと覚悟しています。料理、サービスすべてでレベルアップが求められます。お世話になった川手シェフ、取引先の生産者のみなさんはじめ、白井屋ホテルにかかわるすべての人に恩返ししたいですね。それで個人的にはシェフとして「めぶき」たいです。
 ―群馬の素晴らしい食材を使って独自の解釈でフレンチに仕上げる「上州キュイジーヌ」を掲げています。ゲストに浸透してきましたか。
片山  メッセージカードにも添付していて、少しずつ伝わっている感覚はあります。言葉だけでなく、いま以上に実態のあるものにしていきたい。生産者ともっと密になって、食材を知り、こちらからも「こんな野菜がほしい」と注文を出せるようにして、上州キュイジーヌを深めていきたいです。
―生産者からも注目されていますね。
 白井屋ホテルはみなさん大変興味をお持ちで、応援してくれています。それだけに、いい料理をお出しすれば「さすが」と感心してくれますが、だめだったら「何で」とあきれられてしまうでしょう。期待を裏切らないよう頑張ります。
 生産者の自ら育てた食材への自信、愛情はすごいですね。赤城牛の生産者は料理をプレゼンしましたら、牛肉に「お帰り」と声をかけました。熱の連鎖がつながることが一番うれしいですね。
 ―何か反省することは。
片山  反省の毎日です。満足することはありません。グランドメニューが決まっても修正したくなるような。休むこと、止まることはできません。僕は料理が大好きなので、その楽しい気持ちを一皿に落とし込めればいいかなと考えています。

美食で「めぶく。」象徴になる

―フランスや東京で修業しました。故郷に戻ってきた理由を教えてください。
片山  尊敬するフランスの伝説のグランシェフ、フェルナン・ポワンの言葉にこんなのがあります。「若者よ故郷へ帰れ。その土地の市場へ行き、その土地の人たちのために料理を作れ」という。
 歴史に名を残した有名な料理人たちがその言葉を守り、自分の故郷に帰り、それぞれが3ツ星料理人となりました。全員がパリを目指すのではなく、自分の故郷で表現したのです。いわゆる、ヌーベルキュイジーヌ、新しい時代の料理です。その流れに自分を重ね、東京でなく、群馬を選びました。
 そして、群馬で表現する核として、「上州キュイジーヌ」を掲げました。
 ―5年後、10年後、このレストランをどんな空間にしたいですか。
片山  「めぶく。」象徴になりたいです。食の分野で。前橋が元気になるために。
 外的な評価でいうと、フランス料理を目指したシェフであったら、ミシュランの星を獲得したいです。狙いたいです。川手シェフへの恩返しになるし、ここで働くスタッフのものになる。
 前橋、群馬になかった評価になります。群馬にはおいしいものがないと散々言われてきました。東京でなく、前橋に来たら素晴らしい食と出会える、そんな空間にしたいです。

オーナーシェフから白井屋に

片山 ひろ
(かたやま・ひろ)


帝国ホテルでフレンチの修業を始める。都内のレストランで学んだ後、帰郷し県内でフレンチ店を開く。白井屋ホテルプロジェクトに参画するため、店を閉め、「フロリレージュ」など国内外の名店で2年以上にわたり研鑽を積む。2020年12月、白井屋ホテルの開業に伴い、「ザ・レストラン」のシェフに。

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